1. はじめに

本ドキュメントは、3DS で動作するアプリケーションの作成に関連する情報をまとめたもので、アプリケーション開発者を対象としています。

1.1. 本書の読み方

アプリケーションの作成に関連する情報の紹介を主な目的としているため、詳細な情報については、関連するドキュメントを適宜参照してください。

以降の章の構成は以下のようになっています。

2. アプリケーションの種類」では、3DS で作成可能なアプリケーションの種類と、それぞれの特徴を説明しています。

3. 実装のヒント」、「4. ビルド前の準備」、「5. ビルド」では、アプリケーション作成の基本手順を説明しています。

6. デバッグ」では、アプリケーションのデバッグ方法を説明しています。

7. DLL(動的モジュール)の利用」では、アプリケーションで動的モジュールを利用する場合に必要な手順を説明しています。

8. ダウンロード販売可能なカードアプリの開発手順」では、同じアプリケーションをパッケージ版とダウンロード版の 2 つの販路で販売する場合に必要な手順を説明しています。

1.2. 用語解説

本ドキュメントで使用される用語を簡単に解説します。これらの用語は一般的な意味とは異なる場合があります。

表 1-1. 用語一覧
用語 説明
カードアプリ ゲームカードに格納され、実行される 3DS で動作するアプリケーション。実行時にはゲームカードからデータを読み込みます。
ダウンロードアプリ SD カードに格納され、実行される 3DS で動作するアプリケーション。実行時には SD カードからデータを読み込みます。
CXI
(CTR eXecutable Image)
アプリケーションの実行イメージ形式。また、それを格納したファイル、ファイルにつけられる拡張子。
電子取扱説明書 3DS の画面で表示されるアプリケーションの取扱説明書。CTR-ManualTools で作成します。
CFA
(CTR File Archive)
データコンテナとして扱われるバイナリ形式。またそれを格納したファイル、ファイルにつけられる拡張子。
CCI
(CTR Card Image)
カードアプリの最終 ROM イメージ形式。また、それを格納したファイル、ファイルにつけられる拡張子。内部に CXI を含んでいます。
CIA
(CTR Importable Archive)
ダウンロードアプリの最終 ROM イメージ形式。また、それを格納したファイル、ファイルにつけられる拡張子。内部に CXI を含んでいます。ダウンロードプレイで配信する子機プログラムもこの形式で作成します。
RSF
(Rom Spec File)
CXI を作成するときに使用する各種パラメータを記述したファイル。
リマスターバージョン RSF に記述され CXI 内部に格納されるアプリケーションのバージョン番号。
インポート ダウンロードアプリを SD カードに格納し、起動可能な状態にすること。
HOMEメニュー 3DS を起動したときに表示される画面。起動するアプリケーションを選択するために用いられます。
開発用メニュー PARTNER-CTR Debugger や開発実機を起動したときに表示される開発用の画面。HOMEメニューの代わりとして、最小限の機能を有しています。
DevMenu SD カード上の CIA ファイルのインポート、拡張セーブデータの表示などの機能を持つ、開発用のアプリケーション。
アーカイブ CTR-SDK の FS ライブラリが操作の対象とする個々のファイルシステム。Windows PC でいう「ドライブ」に相当します。
セーブデータ領域 セーブデータを格納するために確保される領域。ダウンロードアプリでは SD カード上に確保され、作成した本体でのみ使用可能です。
拡張セーブデータ領域 セーブデータとは別に作成・管理される SD カード上のデータ領域。作成した本体でのみ使用可能です。領域に作成された拡張セーブデータは「追加データ」とも呼ばれます。
モジュール 実行コードを意味のある単位でまとめたもの。
動的モジュール 動的にメモリに読み込み、実行することのできるモジュール。
静的モジュール 最初に実行される、アプリケーションの本体となるモジュール。動的モジュールを用いていないアプリケーションは、静的モジュールだけで構成されているとも言えます。
DLL 動的モジュールを実現する仕組み。また、動的モジュールそのもの。
CRS 静的モジュールの情報。また、それを格納したファイル、ファイルにつけられる拡張子。
CRO 動的モジュールのファイル形式。また、それを格納したファイル、ファイルにつけられる拡張子。
CRR 動的モジュールの登録情報。また、それを格納したファイル、ファイルにつけられる拡張子。CRO の登録情報が 1 つ以上格納されています。
パッケージ版 併売されているアプリケーションのうち、ゲームカードに記録され、店頭で販売されているものを指します。
ダウンロード版 併売されているアプリケーションのうち、ダウンロード販売されているものを指します。
改訂版 一度アプリケーションをリリースしたのちに、何らかの変更を施してリリースされる同タイトルの新しい版のアプリケーション。
パッチ アプリケーションのいくつかの要素を置き換えて実行する仕組み、またはその置き換えに使用するデータ。
標準アプリ SNAKE で実行した際に標準モードで動作するアプリケーション。発売済みを含む、ニンテンドー3DS専用ソフトがこれにあたります。
拡張アプリ SNAKE で実行した際に拡張モードで動作するアプリケーション。CTR で実行することもできます。CTR で動作した際の挙動は、SNAKE の標準モードで動作したときと同等になります。