2. アプリケーションの種類

3DS で開発することのできるアプリケーションの種類には、以下のものがあります。

2.1. カードアプリ

ROM とセーブデータが一体化したゲームカードに書き込まれるアプリケーションです。店舗などで販売されているパッケージソフトがこれにあたります。

アプリケーションの保存場所とサイズ、セーブデータ、拡張セーブデータ、電子取扱説明書への対応については、以下のようになっています。

表 2-1. カードアプリの特徴
項目 内容
アプリケーションの保存場所 ゲームカード(ニンテンドー3DSカード)
アプリケーションのサイズ

Card1: 128 MByte~4 GByte(実際に使用できるサイズは異なります)

Card2: 512 MByte~2 GByte(セーブデータと共用)

セーブデータの保存場所 ゲームカードのバックアップ領域(ROM 領域とは別の領域です)
セーブデータのサイズ

Card1: 128 KByte または 512 KByte(実際に使用できるサイズは異なります)

Card2: 1 MByte 単位で指定可能(カード容量の半分まで)

拡張セーブデータ 使用可能(追加データ管理画面で削除することができます)
電子取扱説明書への対応 必須
注意:

Card2 を使用する場合は、事前に弊社までご相談ください。

2.2. ダウンロードアプリ

SD カードにインポートされるアプリケーションです。ニンテンドーeショップで販売されているソフトやいつの間に通信でダウンロードされるソフトがこれにあたります。

アプリケーションの保存場所とサイズ、セーブデータ、拡張セーブデータ、電子取扱説明書への対応については、以下のようになっています。

表 2-2. ダウンロードアプリの特徴
項目 内容
アプリケーションの保存場所 SD カード
アプリケーションのサイズ

カードアプリをダウンロード販売にも対応する場合は、最大 4 GB です。

ダウンロード販売のみの場合は、基本的に 512 MB までです。(512 MB 以上のサイズが必要な場合は弊社窓口までご連絡ください)

セーブデータの保存場所 SD カード(インポート時にセーブデータ領域が確保されます。ダウンロードアプリを削除したときに一緒に削除され、セーブデータのみを削除することはできません)
セーブデータのサイズ 128 KByte または 512 KByte(実際に使用できるサイズは異なります。512 KByte 以上のサイズが必要な場合は弊社窓口までご連絡ください)
拡張セーブデータ 使用可能(ダウンロードアプリを削除しても削除されません。追加データ管理画面で削除することができます)
電子取扱説明書への対応 必須
注意:

ダウンロードアプリ (cia) としてマスター提出した場合は、後からカードアプリとして販売を依頼することが出来ません。併売をご検討の場合はカードアプリ (cci) としてマスター提出するようにお願いします。

2.2.1. インポート

ダウンロードアプリを実行するには、まず SD カードにアプリケーションをインポートする必要があります。

製品版では、ニンテンドーeショップなどからのダウンロードが完了した時点でインポートされています。

開発時のインポートには、DevMenu を使用する方法と PARTNER-CTR(デバッガソフトウェア)または IS-CTR-DEBUGGER(デバッガソフトウェア)を使用する方法があります。

DevMenu でインポートするには、CIA ファイルを SD カードに書き込んでおく必要があります。

PARTNER-CTR によるインポートは、CIA ファイルを読み込む(ドラッグアンドドロップも可)か、「IMPORT」コマンドを実行することで行われます。

IS-CTR-DEBUGGER によるインポートは、CIA ファイルを読み込む(ドラッグアンドドロップも可)か、「IMPORT」コマンドを実行することで行われます。

補足:

DevMenu の操作については、CTR-SDK の CTR ツール「DevMenu」のリファレンスを参照してください。

PARTNER-CTR のコマンドの詳細については、「PARTNER-CTR デバッガマニュアル」を参照してください。

IS-CTR-DEBUGGER のコマンドの詳細については、IS-CTR-DEBUGGER のヘルプを参照してください。

2.2.1.1. 上書きインポート

インポートされたダウンロードアプリはユニーク ID で識別されます。そのため、ユニーク ID が同じダウンロードアプリがインポート済みの場合、新たにインポートするダウンロードアプリのバージョンが同じまたは古い場合はインポートされず、新しい場合は上書きインポートが行われます。

上書きインポートが行われる場合、通常はセーブデータの内容が維持されます。そのため、不具合が起こらないように、セーブデータのバージョンなどでしっかりと管理する必要があります。また、インポートするバージョンとインポートされているバージョンとでセーブデータ領域のサイズが異なる場合、すべてのセーブデータ領域の内容がクリアされます。

注意:

製品版のバージョンを変更した際にセーブデータサイズを変更することは禁止されています。

デバッグ時に古いバージョンのダウンロードアプリをインポートする場合や、セーブデータ領域の内容をクリアする必要がある場合は、DevMenu や本体設定のソフト管理画面で、インポート済みのダウンロードアプリを削除してからインポートしてください。ダウンロードアプリを削除しても、拡張セーブデータは削除されないことに注意してください。

2.2.2. あらかじめダウンロード

ダウンロードアプリは、あらかじめダウンロード機能に対応することで、発売日よりも前にニンテンドーeショップで購入やダウンロードができるようになります。

詳細は「3DS オーバービュー」の「あらかじめダウンロード」を参照してください。

2.2.3. 体験版について

ソフトの体験版をダウンロードアプリで開発することができます。

体験版と製品版が同じユニーク ID であっても、別のダウンロードアプリとしてインポートされます。そのため、体験版から製品版へのセーブデータ自体の移行はできませんが、拡張セーブデータの共有を利用して移行することはできます。

拡張セーブデータを共有する場合、製品版を起動したあとで体験版を起動すると、製品版で更新された拡張セーブデータの内容で体験版が起動することになりますので注意が必要です。

体験版を削除した場合、体験版のセーブデータは削除されますが、拡張セーブデータは削除されません。

補足:

体験版の詳細については、「ニンテンドー3DS 体験版作成手順書 - ダウンロード型」を参照してください。

2.2.4. カードアプリ/Wii ウェア/DSi ウェアとの違い

「3DS オーバービュー」の「ダウンロードアプリ」を参照してください。

2.2.5. TWL の NAND アプリのインポート

ctr_makecia の -srl オプションを使用すると、TWL の NAND アプリとしてビルドした SRL ファイルから CIA ファイルを作成することができます。作成した CIA ファイルは、ダウンロードアプリと同様に SD カードにインポートすることができます。

詳しくは CTR-SDK のツール「ctr_makecia」のリファレンスを参照してください。

 

コマンドの実行例:

ctr_makecia32.exe -srl MyTwlApp.srl -o MyTwlApp.cia
注意:

SRL ファイルから作成された CIA ファイルは 3DS での DSi ウェアの動作チェックに使用します。インポート後は PARTNER-CTR でも実行できますが、デバッグできません。

2.3. 子機プログラム

ダウンロードプレイで親機から子機に配信されるアプリケーションです。

アプリケーションの保存場所とサイズ、セーブデータ、拡張セーブデータ、電子取扱説明書への対応については、以下のようになっています。

表 2-3. 子機プログラムの特徴
項目 内容
アプリケーションの保存場所 本体 NAND 領域(1 つのみ保存され、異なるプログラムを受信したときは上書きされます。同じバージョンの同じプログラムは再受信しません)
アプリケーションのサイズ (展開後のサイズで)32 MByte まで
セーブデータ 使用不可
拡張セーブデータ 使用可能(子機プログラムが上書きされても削除されません。追加データ管理画面で削除することができます)
電子取扱説明書への対応 不要
備考 HOMEメニューには表示されないため、バナー(モデルとサウンド)は必要ありません。
補足:

ダウンロードプレイのデバッグ用に、同じバージョンの同じプログラムであっても強制的に受信するように Config ツールで設定可能です。

注意:

ダウンロードアプリがダウンロードプレイのサーバになることはできますが、現時点では、接続してきた子機のシステムアップデートを行うことができません。親機で動作しているアプリケーションがダウンロードアプリの場合、システムアップデートが必要な子機からの接続は警告なしに拒否されます。そのため、ダウンロードアプリがダウンロードプレイを開始する際に、弊社が用意するメッセージをアプリケーションで表示しなければなりません。

詳しくは、DLP ライブラリの関数リファレンスを参照してください。