2. システム

この章では、SNAKE および CTR のシステムブロック全体図と各ハードウェアブロックの情報を記載しています。

2.1. システムブロック全体図(SNAKE)

SNAKE のシステム全体図を 図 2-1 に示します。

図 2-1. システムブロック全体図(SNAKE)

*立体視時の 800 dot は左目用と右目用の合計です。

図中で背景色が赤いものは SNAKE で新たに追加された仕様です。背景色が橙色のものは CTR から変更された仕様です。

 

補足:

本体のバリエーションにより、液晶サイズなどの仕様が異なります。仕様の違いについては、「3DS オーバービュー」の「コンセプト」を参照してください。

2.2. システムブロック全体図(CTR)

CTR のシステム全体図を図 2-2 に示します。

図 2-2. システムブロック全体図(CTR)

*立体視時の 800 dot は左目用と右目用の合計です。

補足:

FTR(ニンテンドー2DS)は、スピーカーの数や上画面の仕様などが CTR とは異なります。仕様の違いについては、「3DS オーバービュー」の「コンセプト」を参照してください。

なお、アプリケーション開発者が、CTR と FTR の違いを意識する必要はありません。

2.3. SoC

SoC は CPU や GPU、DSP、VRAM といった主要な回路を 1 つにまとめた混載チップです。各部の仕様は以下のようになっています。

2.3.1. CPU

複数の ARM11 MPCore とそれぞれに浮動小数点演算用のコプロセッサ(VFP: Vector Floating Point)を搭載しています。

  SNAKE CTR
プロセッサコア ARM11 MPCore
動作周波数 268 MHz or 804 MHz 268 MHz
L1 キャッシュ 4way セットアソシエイティブ(コアごとに搭載)

コア 0 ~ コア 1:
  命令用 16 KByte、データ用 16 KByte

コア 2 ~ コア 3:
  命令用 32 KByte、データ用 32 KByte

コア 0 ~ コア 1:
  命令用 16 KByte、データ用 16 KByte

L2 キャッシュ

16way セットアソシエイティブ

(全コア共通。命令・データ共通 2MByte)

なし
エンディアン リトルエンディアン

 

CTR は 2 つの CPU コア(コア 0 ~ コア 1)、SNAKE は 4 つの CPU コア(コア 0 ~ コア 3)で構成されます。アプリケーションはコア 0 を独占して使用することができ、残りの CPU コアはシステムが使用します。アプリケーションが独占している CPU コアを「アプリコア」、システムが使用している CPU コアを「システムコア」と呼びます。各 CPU コアは以下の用途で使用されます。

CPU コア 使用用途
コア 0 アプリケーション用
コア 1 システム用 (ただしアプリケーションで 30 %まで利用可能)
コア 2 未使用 (システム予約)
コア 3 システム用 (3Dブレ防止機能の制御)
補足:

システムコアの一部をアプリケーションから使用することができますが、バックグラウンドで動作しているプロセスに影響が出るなどのデメリットもあります。

2.3.2. GPU

ディジタルメディアプロフェッショナル(DMP)社開発のグラフィックスコアを搭載しています。

フレームバッファを介して処理するため、DS のときのような BG や OBJ の概念はありません。

グラフィックスコア PICA グラフィックスコア
動作周波数 268 MHz
アーキテクチャ フレームバッファアーキテクチャ
シェーダ 頂点処理(プログラマブル)、ピクセル処理(非プログラマブル)
グラフィックス機能

OpenGL ES 1.1 ベースの固定パイプライン + 独自拡張(一部は OpenGL ES 2.0 相当)

よく使用される 3D グラフィックス処理をハードウェアで搭載

2.3.3. VRAM

GPU からのみアクセス可能な 3 MByte のビデオメモリを 2 つ搭載しています。2 つのメモリでパフォーマンスに違いはありません。

主に、カラーバッファやデプスバッファ(Z バッファ)、ステンシルバッファの配置や、頻繁に使用されるテクスチャや頂点バッファの配置に利用することになります。

VRAM はメインメモリから独立したメモリ領域で、CPU から直接アクセスすることはできません。

2.3.4. サウンドDSP

サウンド処理用の DSP を搭載しています。TWL に搭載されていた DSP とは異なり、ほかの処理を行わせることはできません。

チャンネル数 24 ch
サンプリングレート 約 32728 Hz(正確には Fs = 16756991 * 16 / (32 * 256) = 32728.49805... Hz)
パラメータ更新間隔 約 4.889 ms(正確には T = 160 / Fs = 4.888705... ms)
サンプルフォーマット DSP ADPCM / PCM8 / PCM16
リサンプリング ポリフェイズフィルタ / 線形補間/なし
AUXバス数 2

2.4. メインメモリ

アプリケーションから使用可能な領域として、以下のメモリ空間が用意されています。

  SNAKE CTR
メインメモリ

124 MByte

(開発機は 178 MByte)

64 MByte

(開発機は 96 MByte)

メインメモリにテクスチャと頂点バッファを配置し、GPU から直接参照することもできます。

メモリマップなどの詳細な情報については「3.1. メモリ」を参照してください。

2.5. 動作モード

SNAKE の動作モードには、CTR と同等の動作となる「標準モード」と、SNAKE 独自の動作となる「拡張モード」の 2 つのモードが存在することになります。

以下に標準モードと拡張モードとの性能の差異を示します。

表 2-1. 標準モードと拡張モードとの性能の差異
  標準モード 拡張モード
CPU の動作周波数 268 MHz 804 MHz(三倍速)
CPU の L2 キャッシュ 無効 有効(2 MByte)
メインメモリのサイズ 64 MByte 124 MByte

2.6. LCD

2 つの LCD が搭載されています。

    SNAKE CTR(SPR) FTR
上画面 画面サイズ

3.88 インチ

LL は 4.88 インチ

3.5 インチ

SPR は 4.88 インチ

3.5 インチ

解像度

(立体視表示時)

400 × 240 ピクセル

800 × 240 ピクセル(右目用と左目用の 2 ピクセルを通常時の 1 ピクセルの大きさで表示)

色の階調 8 bit RGB で約 1677 万色
液晶タイプ 半透過型(グレア加工)
バックライト

アクティブバックライト搭載(省エネモード設定の ON/OFF で制御)

HOME メニュー表示中に輝度調整が可能

立体視表示 モード設定とアプリケーションでの対応により、裸眼での立体視が可能になります なし
下画面 画面サイズ

3.33 インチ

LL は 4.18 インチ

3.0 インチ

SPR は 4.18 インチ

3.0 インチ
解像度 320 × 240 ピクセル
色の階調 8 bit RGB で約 1677 万色
液晶タイプ 半透過型(ノングレア加工)
バックライト

アクティブバックライト搭載(省エネモード設定の ON/OFF で制御)

HOME メニュー表示中に輝度調整が可能

タッチパネル 抵抗膜方式(マルチタッチなし。液晶のドット単位で入力座標を取得することができます)
注意:

本体を縦に持った(液晶画面の長辺が縦方向に来る状態で見た)ときは立体視表示にはなりません。

補足:

立体視表示については「3DS プログラミングマニュアル - グラフィックス応用編」を参照してください。

2.7. 記憶装置

2.7.1. ゲームカードスロット

ゲームカードスロットには、以下のカードを挿入することができます。

  3DS 専用 DS 専用
DSi 対応
DSi 専用
SNAKE
CTR
補足:

AGB カートリッジスロットはありません。

2.7.1.1. ニンテンドー3DS 専用ゲームカード

TWL/NITRO カードに比べて高速なアクセスが可能で、セキュリティも新しくなっています。

CARD1 と CARD2 の 2 種類のカードが用意されています。CARD1 の ROM 容量は 4 GByte(32 Gbit)まで対応しています。CARD1 に搭載可能なバックアップメモリの容量は 128 KByte(1 Mbit)または 512 KByte(4 Mbit)です。CARD2 は、ROM とバックアップメモリの容量の合計で 2 GByte(16 Gbit)まで対応可能です。

ROM およびバックアップメモリは、その容量のうちの一部をシステムが使用します。詳細については、「3.2. ニンテンドー3DS 専用ゲームカード」および「7.3. セーブデータ」を参照してください。

2.7.2. 本体 NAND メモリ

本体には、以下の容量の NAND メモリが内蔵されています。本体 NAND メモリは、本体内蔵アプリなどのデータの保存に利用します。

  SNAKE CTR
容量 1.3 GByte 1 GByte

2.7.3. microSD/SD カードスロット

以下のメディアに対応した microSD/SD カードスロットが搭載されています。

専用のライブラリ(SoundDB、ImageDB など)で、一部のファイルへのアクセス方法を提供しています。SD カードから直接アプリケーション(DSi ウェア以外のダウンロードアプリ)を起動することができます。

  SNAKE CTR
対応メディア

microSD メモリーカード
microSDHC メモリーカード

(microSDXC メモリーカードは非対応)

SD メモリーカード
SDHC メモリーカード

(SDXC メモリーカードは非対応)

2.8. 入力装置

2.8.1. キー入力

  SNAKE

CTR

SPR

FTR 備考
十字ボタン あり  
A / B / X / Y ボタン あり

SNAKE の X ボタンをかなり強い力で押し込むと、C スティックが下方向に入力されたような動作になることがあります。そのため、C スティックを使用するアプリケーションでは、以下のような回避方法を推奨します。

  • 長押しするような操作を X ボタンに割り当てない。
  • X ボタンを長押しするシーンでは C スティックの値を取得しない。
  • C スティックの遊びを調整する。

なお、開発機および Newニンテンドー3DS で上記の現象を発生させるには、Newニンテンドー3DS LL で発生させるよりも強い力で長押しする必要があります。

L / R ボタン あり  
ZL / ZR ボタン あり 拡張スライドパッド接続時は使用可能 なし SNAKE に搭載されている ZL / ZR ボタンは「ニンテンドー3DS専用拡張スライドパッド」に搭載されている ZL / ZR ボタンと互換性があり、アプリケーションからは常時装着された拡張スライドパッドとして扱うことができます。
スライドパッド あり  

C スティック /

スライドパッド(R)

あり 拡張スライドパッド接続時は使用可能 なし SNAKE に搭載されている C スティックは「ニンテンドー3DS専用拡張スライドパッド」に搭載されているスライドパッド(R)と互換性があり、アプリケーションからは常時装着された拡張スライドパッドとして扱うことができます。
START / SELECT ボタン あり SELECT ボタンは DS との互換性のために残されており、アプリケーションでは START ボタンが押されたと判定されます。
HOME ボタン あり

HOME メニューの起動を行います。

入力をアプリケーションの進行に使用することはできません。

電源ボタン あり

電源の制御を行います。誤操作防止のために瞬間的な押下には反応しません。一定時間以上の押下で強制シャットダウン処理が開始されます。

SNAKE は蓋を閉じた状態で電源ボタンの操作が可能です。

入力をアプリケーションの進行に使用することはできません。

無線スイッチ なし あり なし

SNAKE と FTR は HOME メニューから無線スイッチの ON/OFF を切り替えます。

入力をアプリケーションの進行に使用することはできません。

開閉検知スイッチ /

スリープスイッチ

開閉検知スイッチ スリープスイッチ

開閉検知スイッチは本体の開閉を検知するためのものです。FTR は本体を閉じることができないため、開閉検知スイッチではなくスライド式のスリープスイッチが搭載されています。

入力をアプリケーションの進行に使用することはできません。

サウンドボリューム あり

スライド式のものが搭載されています。

入力をアプリケーションの進行に使用することはできません。

3D ボリューム あり なし

立体視表示時の表示調整に使用します。

入力をアプリケーションの進行に使用することはできません。

2.8.2. 加速度センサー

3 軸の加速度センサーが本体下部に搭載されています。アプリケーションで使用することができます。測定可能範囲は各軸±の方向に約 1.8 G、静止時ノイズは最大 ±0.02 G、感度は約 0.002 G、サンプリングレートは 100 Hz(デバイス単体での理論値)となっています。

2.8.3. タッチパネル

DS/DSi と同様に下画面にはタッチパネルが搭載されています。

抵抗膜方式の 1 点感知(マルチタッチなし)のタッチパネルで、性能は DSi 相当のものです。従来通り、液晶のドット単位で座標を取得することができます。

2.8.4. マイク

モノラルマイクが下画面の下部にあるボタン群の横に搭載されています。性能は DSi 相当のものです。従来通り、マイクアンプのゲインを 0.5 dB 刻み、10.5 dB から 70.0 dB の範囲で設定することができます。

マイクの感度の個体差は 0.5 dB(1.06 倍)以内です。

2.8.5. カメラ

内側に 1 つ、外側(左と右)に 2 つの計 3 つ、DSi と同性能のカメラが搭載されています。外側カメラの 2 つ、外側カメラ(L)と内側カメラの 2 つは同時に使用することができますが、3 つのカメラを同時に使用することはできません。

カメラの主なスペックは以下のとおりです。

絞り F2.8(固定)
画角 枠外の表を参照(最大解像度で撮影時の値)
撮影可能範囲 20 cm~無限遠(パンフォーカス。マクロスイッチ非搭載)
最大解像度 VGA
最大フレームレート 30 fps(fps: 1 秒間のフレーム数)
出力フォーマット YCrYCb(別途用意されている YUVtoRGB 回路を利用することで RGBA8888、RGB888、RGB565、RGBA5551 として出力可能)

 

 

最小

平均

最大

対角

63.0°

66.0°

69.0°

水平

52.2°

54.9°

57.6°

垂直

40.4°

42.6°

44.8°

2.8.6. ジャイロセンサー

本体の傾きや回転速度を計測することのできる 3 軸のジャイロセンサーが本体下部に搭載されています。測定可能範囲は各軸±の方向に 1800 dps(Degrees Per Second)、静止時ノイズは最大 ±2.28 dps、感度は約 0.07 dps、サンプリングレートは 100 Hz となっています。

2.9. 出力装置

2.9.1. スピーカー

CTR、SPR、SNAKE、CLOSER では、上画面の左右にステレオスピーカーが配置されています。FTR では、上画面の左上にモノラルスピーカーが配置されています。

下図は、CTR / SPR / FTR / SNAKE / CLOSER に搭載されているスピーカーの音圧周波数特性をグラフにしたものです。

図 2-3. CTR(SPR / FTR / SNAKE / CLOSER)本体スピーカーの音圧周波数特性

音圧 入力:-6dBFs [dBspl] [Hz] SPR CTR FTR

2.9.2. ヘッドホン端子

ステレオ出力のミニジャック端子が搭載されています。DS/DSi にあった、マイク接続端子はありません。

マイク入力付のヘッドホンには対応していません。

  SNAKE CTR SPR FTR
ヘッドホン端子の位置 下部手前の中央 下部手前の左側

2.9.3. LED

カメラの状態、電池、充電、無線、3D 表示、おしらせの各状態を知らせる LED が搭載されています。

以下のように、搭載されている LED はプラットフォームごとに異なります。

  SNAKE CTR SPR FTR
カメラの状態 なし あり あり なし
電池 あり あり あり あり
充電 あり あり あり あり
無線 あり あり あり あり
3D 表示 なし あり なし なし
おしらせ あり あり あり あり

2.10. 通信装置

2.10.1. 無線通信モジュール

2.4 GHz 帯でワイヤレス通信可能な無線通信モジュールを搭載しています。

主な機能として、アプリケーションが意図的に行う通信(フォアグラウンド通信)とアプリケーションの裏でシステムが自動的に行う通信(バックグラウンド通信)の 2 つに大きく分けることができます。

無線通信の詳細については「3DS プログラミングマニュアル - 無線通信編」を参照してください。

  • フォアグラウンド通信
    • インフラストラクチャ通信
    • ローカル通信
    • ダウンロードプレイ

 

  • バックグラウンド通信
    • すれちがい通信
    • ダウンロードタスク
    • プレゼンス機能

2.10.2. 赤外線通信装置

赤外線受発光部と赤外線通信装置を搭載しています。

2.10.3. NFC(Near Field Communication)

SNAKE には非接触型の近距離無線通信(NFC:Near Field Communication)のアンテナが下画面の液晶パネル下に搭載されています。

2.11. その他

2.11.1. RTC (Real Time Clock)

時刻を保持し、計時を行います。

2.11.2. DSi との互換

DSi との互換性を備えており、DS ダウンロードプレイにも対応しています。